マンションや一戸建ての地震対策
阪神淡路大震災では、私たちは都市部での直下型の大地震を経験しました。断層がほぼ真下にある場所での地震は予震もなく突然やってきました。激しい揺れの後、その被害の大きさが明らかいなるにつれ、多くの人は、にわかには信じられないでいました。
6000人の死者のうち約5000人が地震直後の建物の倒壊で亡くなったと言われています。それまでの住宅は耐震基準が震度5程度で考えられていましたし、誰もが日本の建築は優れていて少々の揺れではびくともしないと考えていました。それゆえに、地震対策は不十分だったのかもしれません。
阪神大震災を教訓にして、多くの専門家が新しい対策を考え技術も進歩してきました。
■マンションの地震対策と避難方法
高さのあるマンションやビルは上の階へ行くほど横揺れがひどくなる事が証明されています。事実、阪神淡路大震災では上層階の家具は大きく揺れ倒れ、テレビも数メートル飛ぶような被害でした。
・免震構造の採用
最近の多くの高層マンションでは、免震建築がなされそれを販売セールスの売りにしているところが多いです。構造物の柱の下に巨大なクッションのようなものを入れる事で地震のエネルギーを吸収し揺れを小さくする方法が多くなっています。数年前、建築費を安くあげるために、建物の強度などを示す構造計算書を偽装した事件が大きな問題となりました。そして、危険なマンションは避難勧告が出て住めなくなったり耐震補修を余儀なくされローンで苦しむ入居者と構造計算をした会社や国との間でも保障に関して裁判が続いているところもあります。
・エレベーターの使用制限
地震の際にはエレベーターは使用しないで下さい。途中で停止したり大きく破損して危険です。階段で下りるほうが安全と考えられています。エレベーターが動いている時に地震が発生すると近くの階に緊急停止するように設計されているのが殆どですから、扉が開いたらすみやかに退避します。万が一、途中で停止して出られなくなった場合は、緊急通報のインターホーンで連絡します。また、携帯電話も持っているほうが万が一の時に連絡手段が増えます。
・マンションの扉や窓を開く
地震が発生したら玄関の扉や窓を開ける事が良いという意見もあります。大きく揺れたあとドアが開かなくなったケースがあります。避難経路が断たれる前に開けておきます。窓の防犯用の格子も内側から外せるタイプがあります。新しいマンションでは取り付けられている事が多いです。
・家具の転倒防止予防
タンスやテレビ、パソコンなどに耐震マットを敷く事をおススメします。マンションの壁はコンクリートに壁紙が貼ってある場合、L字型金具で留めるのが難しいですが、「L型固定式 不動王」は、地震動吸収特殊素材(ポリウレタンフォーム)が揺れを吸収する家具転倒防止用品です。貼るだけなのでネジで止めたりしなくて済みます。家具の下には耐震マットを敷くとさらに有効です。
・風呂の水を捨てずに取り置く
マンションが倒壊の危険もなく済んだ場合でも地震でポンプが壊れたり停電で給水タンクから水が供給されなくなる可能性があります。飲み水はペットボトルやポリタンク、給水タンクで溜めておきます。しかし、水洗トイレが使えなくなりますので、お風呂の水を捨てずに溜めて置くと便利です。バケツで汲んでトイレの給水タンクに入れれば流す事ができます。水を大量に使用するお風呂は完全に水道が復旧するまでは銭湯などを利用して我慢する事になります。
■住宅の地震対策
・地震に強いツーバイフォー工法
パネル住宅など面構造を持つツーバイフォーは軽くて地震に強いと言われています。
・壁の耐震補強
住宅の壁に揺れが増大するのを吸収する補強をします。学校の窓や体育館の外側の壁などでもよく見られる工法です。X字型に支えの鉄骨や木を入れたりします。
・L字型金具での補強
昔から続く準日本建築は点で支えているため地震に弱いと言われていますが、柱の繋ぎ目にL字型の金具で留め耐震工事をする事で強度を保て大きな地震の際に効果を発揮します。
・免震基礎工事
家屋の基礎に揺れを吸収する土台を作り、その上に家を置きます。すでに建っている住宅でもジャッキで浮かして工事をする方法もあります。かなり大がかりで費用もそれなりにかかります。
耐震工事をすると市町村から補助が出たり、固定資産税の減免などの措置を受けられる事があります。一定の基準を満たすと受けられますので工事前に調べておきましょう。
比較的安価に出来ますが、中には悪徳業者が居るので複数から見積もりを取るなど十分検討してから発注しましょう。
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