高層ビルの地震対策にBCP導入

高度経済成長期の頃より、日本ではマンションやビルの高層化が進められて来ました。土地の少ない日本では選択せざる負えない方法でした。しかし、地震対策は遅れており初期の頃に建てられた高層ビルは建築から40年を過ぎ建て替えの時期を迎えているところが多くあります。今のままでは大正時代に起きた関東大震災クラスの大地震に耐える事が出来ないだろうと予想されています。東京では高層ビルが乱立し、多くの企業のオフィスが中枢的機能を持ち、昼夜を問わず活動しています。しかし、今のままでは十分な耐震強度もなく、オフィス内についても地震対策が遅れていると言われています。今後30年以内に起こる可能性が70パーセント以上というマグニチュード8クラスの東海地震では、東京でも相当揺れると予想されます。全ての高層ビルに対しBCP(事業継続計画)を導入し早急に対策が求められます。

■高層ビルオのフィスのBCP
日本の首都である東京に直下型地震が起きるといったいどうなるのか?関東大震災クラスのマグニチュード8クラスの巨大地震は200〜300年の周期で起こる事は長年の研究で分かってきています。さらにM7クラスでは安政江戸地震と明治東京地震がその間に発生しています。つまり、今の東京はいつ地震が起きてもおかしくない状態と言われています。もし東京に大地震が起きたらいったい「どうなるでしょうか?昨今の高層ビル化によりたくさんの企業や自治体のオフィスがその中に入り、多くの大手企業では本社機能が集約され、国の中枢機関も首都に集中しているのです。
最近、BCPという言葉ををよく耳にしますが、企業の事業継続計画のことでBusiness Continuity Planの英語の略です。欧米諸国ではすでに導入済みの企業が殆どなのに対し日本ではまだ一部企業にしか過ぎません。地震対策に防災グッズを備えたり、オフィス家具転倒防止対策などコスト高になる事を社長や役員が嫌って立ち遅れたと考えられています。又は、全くそういう意思が働いて来なかったのでしょう。
海外の企業と大きな契約をする場合、BCPを導入していない企業は敬遠されるそうです。

■早急に地震対策が求められる超高層ビル
地震でエレベーターは使用できない
地震になるとエレベーターは使用できません。非常階段で下りるしかありません。しかし、高層ビルの上層階のオフィスでビジネスタイムに仕事をしている社員は少なくとも数千人規模になります。一度にそれだけの人が殺到したらいったいどうなるでしょうか?もともと非常階段はたくさんの人が上り下りするように設計されていませんでした。最近、BCPに沿って避難訓練をした企業が検証した時に問題となりました。高速エレベーターならわずか1分で1階まで到達するのに非常階段だと20分掛かってしまう。しかも、一度に何千人も利用したら大混雑となり遅い人が居ると渋滞したようになってしまう恐れがあります。女性や弱者を先に下ろす等の優先順位を決めるという非情とも言える斬新なBCPが求められるでしょう。

上層階で地震被害が拡大する
超高層ビルの1Fと最上階では相当な揺れの差が発生する事がわかっています。上層階のオフィスでは事務机や大型事務機の揺れに対する床の移動防止や、パソコン転倒防止などの地震対策が必要です。

・高速エレベータの破損
実際、中越地震の際には遠く離れた東京の高層ビルで大きな被害が出ていました。高速で昇降するエレベータでレールが曲がるなどして破損してしまいました。非常に危険な事故でした。緊急停止が反応せずエレベーターが動き続けた結果です。地震探知装置の改良も求められます。

・コピー機などの移動、転倒
大型の事務機も大きく揺れます。万が一、人に当たると大けがは免れません。
免震機能のある金具でしっかりと床に固定する事が必要です。

・壁の破損、天井落下
壁や天井が破損したり落ちてきたりして危険です。人に対して優しい安全な工法が求められます。

高層ビル火災が発生した場合の避難
大地震では火災発生も想定されます。オフィス内には有毒ガスを発生する物もたくさんあると思われます。火炎より煙に含まれる有毒ガスにまず対処しなければなりません。ほんの一呼吸で致死量に達するような場合もあります。携帯可能なガスマスクや酸素吸入器の備えも考える必要があるかもしれません。応急措置としては濡れたタオルで口を塞ぐなども日頃からBCPに基づき訓練しておく必要があるでしょう。

長周期地震動に弱い超高層ビル
近年、地震対策済みの超高層ビルが危ないという話があります。地震が起きても倒壊しないよう柔らかくしなるように設計されているためゆっくりと大きな揺れが起きるというのです。
周期的に数秒以上の固有周期を持つ構造物に大きな震動を引き起こし、大被害をもたらす可能性があるというのです。建物や構造物は大きさなどによって揺れる周期(固有周期)が決まっていて、一般的に建物が大きいほど固有周期も長いとされています。
すると、高層ビルは上に行くほどだんだん揺れが大きくなるという事です。
震源から遠く離れていても長周期地震動が起き上層階では被害が大きくなります。

最新の超高層ビルでは、「免震構造」という建築法が必ず取り入れられるようになっています。しかし、実際に最新の免震技術をもって震度7クラスの大地震に対応できるかは未だ未知数です。

企業は早急に、あらゆるBCP対策を練って対応すべき時だと言えます。

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